目次
このページの総論
・ミドルキックのブロックは、腕で受けるのではなく「ひじとひざを近づけて、すねで止める」のが基本です
・蹴りが当たる直前ではなく、相手の予備動作を見て足を上げ始めるのがコツです
・ブロックだけで終わらず、返しの一発までセットで練習しましょう
・下がる、前に入るなど、ブロック以外の選択肢も持つと守りが安定します
まえがき
こんにちは!Kick Timesキュレーターの能見です。
「ミドルキックをブロックしたつもりなのに、腕ごと脇腹にもらってしまう」「受けるたびに腕やすねが痛くて、だんだん怖くなってきた」。基本は一通り覚えたのに、スパーリングになると崩れてしまう。中級者の方から、こうした悩みをよく聞きます。
今回は、ミドルキックの防御の中でも「ブロック」に絞ってお話しします。蹴り方のコツや攻防の全体像、注目選手の紹介は、すでにサイト内に記事があります。そこで、この記事では「受ける側」の動きと考え方を掘り下げます。
ブロックの意味、形、よくあるミス、ほかの選択肢、練習方法の順に進めます。ぜひ最後までお付き合いください。
ブロックの目的は「痛くない受け方」より「蹴りを止めること」
キックボクシングでいうブロック(ムエタイでは「カット」と呼ばれることもあります)は、蹴りを自分のすねで受け止めて、威力を殺す防御です。
ミドルキックとは、相手の胴体(脇腹やボディ)を狙う、腰の高さの蹴りのことです。体の中でも大きな筋肉が集まる場所を使う技なので、腕だけで受けると、腕ごと体に押し込まれやすくなります。
そこで、ブロックは腕で受けるのではなく、足を上げてすねで受けるのが基本になります。蹴りが来る側の足を持ち上げて、ひざとひじを近づけ、体の側面に「壁」を作るイメージです。
ブロックには、もうひとつ大切な役割があります。何度も止められると、蹴る側は「蹴りづらい」と感じ、攻め方を変えざるを得なくなります。つまり、防御でありながら、相手にプレッシャーをかける動きでもあります。
基本の形をもう一度確認しよう
形は難しくありません。ただ、中級者ほど細かいズレがあるものです。次のポイントを順番にチェックしてみてください。
・蹴りが来る側の足を持ち上げ、ひざを体の前〜横に向けて上げる
・上げた足のひざに、同じ側のひじを近づける(ひじとひざでドアを閉じるイメージ)
・すねの一番硬い部分で相手の蹴りを受ける(足首や足の甲で受けない)
・反対側の手は顔の横に残し、あごを引いて視線は相手から切らない
・軸足(体を支えているほうの足)は、かかとを浮かせすぎず、体を安定させる
具体的に説明します。向かい合った相手が左ミドルを蹴ってくると、狙われるのは基本的に自分の右の脇腹です。この場合は、右足を上げて右ひじと合わせます。狙われる側の足とひじを使う、と覚えておくと混乱しません。
また、上げたすねは、相手の蹴りの軌道に対して「立てる」ように置きます。すねを寝かせると、相手の足がすねの上を滑って脇腹に届きやすくなります。
蹴る側になって考えると、ひじとひざがしっかり合っていて、すねが立っている相手は、本当に蹴りにくいものです。
中級者がやりがちな4つのミス
ブロックが安定しない原因は、センスよりも「小さなクセ」にあることがほとんどです。ジムで指導していると、次のようなパターンをよく見かけます。
・蹴りが当たる瞬間に足を上げ始めて、間に合わない
・足は上がっているのに、ひじが開いていて、すき間から蹴りが入る
・ブロックの衝撃で上体が横に倒れ、次の動作が遅れる
・ブロックした直後に目を切ったり、背中を見せたりしてしまう
特に多いのが、1つ目の「反応の遅れ」です。蹴りが見えてから動いたのでは遅いので、相手の体の動きを合図にして足を上げ始めることが大切です。
たとえば、相手の肩が少し回る、腰がひねられる、軸足のつま先が外を向く。こうした動きは、蹴りの前に出やすい「予備動作」です。相手によってクセは違うので、スパーリングで観察する習慣をつけてみてください。
3つ目の上体の倒れは、足を上げすぎたり、腕に頼りすぎたりして起こりがちです。ブロックした後も、頭を体の中心に置いておくことを意識しましょう。
ブロックだけに頼らない:ほかの選択肢を持とう
どんなに上手でも、ブロックだけで全部の蹴りを受けるのは難しいものです。何度も続けて蹴られるほど、すねや腕への負担は積み重なります。
そこで、次の選択肢も使い分けられるようにしましょう。
・後ろに下がって、蹴りの届く距離から外れる
・相手の蹴りより早く前に入り、距離を詰めて威力の出る位置をつぶす
・前蹴り(ティープ)や、パンチの連打で、蹴りの出だしを止める
・相手の蹴りを腕で抱える「キャッチ」からバランスを崩す
ただし、キャッチの扱いは、試合のルールやジムの練習ルールによって異なります。使う前に、自分が出る試合のルールや、ジムの方針を確認してください。
ブロックは、数ある選択肢のうちのひとつです。「受ける」「外す」「入る」を状況で選べるようになると、ミドルキックは怖くなくなります。
ブロックを身につける練習方法
形を覚えるだけでは、実戦では使えません。段階を踏んで、反応と形を体に覚えさせましょう。
まずは、パートナーにゆっくりミドルキックを出してもらい、ブロックの形を作る練習です。スピードは求めず、すねの当て方と、ひじとひざの位置を確認します。
次に、ミットを持ってもらい、「ブロック→返しのパンチやキック」までを1セットにして繰り返します。ミドルキックを受けたら、その足を下ろす勢いでパンチを返す、といった流れです。左ミドルが得意な私としては、蹴った直後にすぐ反撃されると、とてもやりづらいと感じます。
すねを保護して練習したい場合は、こうした防具を使うのも手です。
最後に、軽いスパーリングで、実際の動きの中で試します。最初から強く蹴ってもらう必要はありません。ブロックのタイミングをつかむことが目的です。
なお、ブロックを重ねたあとに、すねや前腕に強い痛みや腫れが続く場合は、無理に練習を続けないでください。早めに整形外科などの専門医に相談しましょう。
あとがき
今回は、ミドルキックのブロックについて、基本の形、よくあるミス、ほかの選択肢、練習方法をお伝えしました。
ポイントは、すねで受けること、予備動作で早めに反応すること、そして返しまでセットで考えることです。ブロックができるようになると、相手の蹴りへの恐怖心が減り、自分の攻撃にも余裕が出てきます。
まずは次の練習で、ひじとひざを合わせる形を、ゆっくり確認するところから始めてみてください。小さな修正の積み重ねが、確実に守りを強くしてくれます。応援しています!
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