ロープ際・コーナーに詰められた時の対処法!中級者が身につけたい脱出の基本

文:NOMI

ロープ際・コーナーに詰められた時の対処法!中級者が身につけたい脱出の基本

このページの総論

・ロープ際で慌てる原因は「真後ろに下がる」クセと、背中の位置への意識不足です

・詰められる前の予防と、背中がロープに触れた瞬間の脱出が対処の柱です

・脱出できない時は、ガードを固めて相手の打ち終わりを狙います

・スパーリングでロープ際スタートの練習を入れると、本番で落ち着けます

まえがき

こんにちは!Kick Timesキュレーターの能見です。

スパーリングで、気づいたらロープを背負っていた。そのまま連打をもらって、何もできずに終わってしまった。中級者の方から、こんな悩みをよく聞きます。

基本のパンチやキックはできるようになったのに、リングの端に追い込まれると急に動けなくなる。これは、技術が足りないというより「追い込まれた時の約束事」を持っていないことが原因のことが多いです。

この記事では、ロープ際・コーナーでの対処を「予防」「脱出」「耐える」「反撃」「練習」の順に整理します。前蹴りで距離を作る話は別の記事で扱っているので、ここでは足運びと体の向きを中心にお話しします。

なぜロープ際・コーナーは怖いのか

まず、何が不利なのかをはっきりさせましょう。理由が分かると、対処も考えやすくなります。

ロープ際で不利になる最大の理由は、下がるという逃げ道がなくなることです。後ろへ下がれないので、相手のパンチやキックの衝撃を逃がせません。

さらに、動ける方向が左右だけに減ります。相手はそれを分かっているので、逃げる方向に先回りして打ってきます。

コーナーはもっと厳しく、背中側が2方向ふさがれます。ここに入る前に手を打つのが理想です。

ただ、ロープ際が必ず悪い状況とは限りません。ロープの弾力を使って体勢を立て直せる場面もあります。大切なのは、追い込まれたことに気づいて、慌てずに次の動きを選ぶことです。

詰められる前にできる予防の動き

一番の対処は、そもそも追い込まれないことです。ここが中級者の分かれ目になります。

追い込まれる人に多いのが、プレッシャーをかけられた時に真後ろへ下がるクセです。直線で下がると、相手は直線で追えばよいので、すぐにロープに届いてしまいます。

下がる時は、次のことを意識してみてください。

・真後ろではなく、斜め後ろか横に足を運ぶ

・下がる時も、相手の正面に体を残さず角度を作る

・背中側にロープがどれくらいあるか、時々チラッと確認する

・リング中央に戻る意識を、ラウンドを通して持つ

特に「相手を中心に円を描くように動く」ことは大切です。相手の前足の外側へ回り込むと、相手の正面から外れやすくなります。

このフットワークは、縄跳びのような軽いリズム練習でも土台が作れます。足の軽さに自信がない方は、取り入れてみてください。

背中がロープに触れた瞬間の脱出方法

背中にロープを感じたら、そこが勝負どころです。ロープに体を預けて止まらず、すぐ横方向へ動くことを優先してください。

代表的な脱出は、次の2つです。

・ピボット(片足を軸にして、体の向きを入れ替える動き)

・サイドステップ(相手の正面から外れるよう、横へ踏み出す動き)

ピボットは、相手が前に出てきた力を利用します。相手が踏み込んできた時に、自分の前足を軸にして後ろ足を大きく回し、相手の横に出ます。体が入れ替わると、背負っていたロープが相手側に移ります。

慣れないうちは、相手のパンチを打ち終わるタイミングで動くと成功しやすいです。相手が打っている最中に動こうとすると、逆に当たってしまうことがあります。

もう一つ大事なのが、出る時に手を下げないことです。足だけに意識が向くと、ガードが開いて被弾しやすくなります。ガードを保ったまま、足だけを動かす感覚を身につけましょう。

私はサウスポーなので、相手が右構えなら、自分の左側(相手の外側)へ回るか、右側(相手の内側)へ抜けるかを状況で選びます。構えの組み合わせで抜けやすい方向が変わるので、普段から両方向を練習しておくと安心です。

脱出できない時のガードと耐え方

相手の圧力が強くて、すぐには抜けられない時もあります。そんな時は、無理に動いて被弾するより、いったん耐えて隙を待つほうが安全です。

ポイントは、ロープに寄りかかりすぎないことです。背中を完全に預けると、衝撃を逃がせず、ダメージが体に残りやすくなります。ロープに軽く触れる程度にして、膝を少し曲げ、重心を低く保ちます。

ガードは、次のように固めます。

・両腕を顔の前に寄せ、あごを引く

・脇を締めて、ボディへの攻撃は肘で受ける

・頭を下げすぎず、相手の動きから目を切らない

・ミドルキックは、肘と腕で受けて体を固める

相手が打ち終わる一瞬を見つけ、そこで体を入れ替えたり反撃したりします。ずっと受け身のままだと、印象も悪くなるので、耐えながらも「次に出る」意識を持ってください。

クリンチ(相手に組みついて動きを止めること)は、ルールによって認められる範囲が違います。ムエタイ寄りのルールとキックボクシングのルールでは扱いが異なるので、出場する大会のルールは必ず確認してください。

なお、ロープで背中や首をひねって痛みが続く場合は、自己判断せず、整形外科などの専門医に相談しましょう。

追い込まれた状態から反撃につなげるコツ

守るだけでは状況は変わりません。相手が「追い込んだ」と思っている時こそ、実は反撃のチャンスです。

相手は前へ出てくるため、攻撃の入り際は体が前に流れて、バランスが崩れやすくなります。そこで、カウンター(相手の攻撃に合わせて打つ技)を狙います。

ロープ際で使いやすい反撃は、次のとおりです。

・相手のパンチに合わせたカウンターのパンチ

・脱出しながら打つ、ミドルキックやローキック

・ガードの後に、すぐ返す短いコンビネーション

私の場合は左ミドルが得意なので、相手が踏み込んできた瞬間に、脇腹へ合わせることをよく考えます。ただ、ロープ際は足場が限られるため、大振りの蹴りはバランスを崩す危険もあります。反撃は大きく振らず、コンパクトに、1発ずつ確実に当てることを意識してください。

反撃で相手の勢いが止まれば、その間に足を使って中央に戻れます。「脱出」と「反撃」をセットで考えると、動きがつながります。

ロープ際の対処を身につける練習法

知識だけでは、いざという時に体が動きません。ジムで指導していても、落ち着いて対処できる人は、練習で「追い込まれる場面」を何度も経験しています。

おすすめは、ロープ際スタートのスパーリングです。背中をロープにつけた状態から始めて、攻める側と守る側に分かれます。守る側は脱出を、攻める側は追い込む動きを練習できます。

慣れないうちは、次のように段階を踏んでください。

・最初は、相手が軽いパンチだけを打つ(脱出の動きの確認)

・次に、パンチとキックを混ぜて強度を上げる

・最後に、自由に攻防して実戦に近づける

パートナーと強度を事前に決めておくことが大切です。強く打ち合うと、練習の目的である「動きの習得」が薄れ、ケガのリスクも上がります。

ミット打ちで、トレーナーがじわじわ前に出て、受ける側が足で外す練習も効果的です。1人でできる練習なら、シャドーボクシングで「下がる→角度を取る→打つ」を繰り返しましょう。

あとがき

ロープ際・コーナーの対処は、予防、脱出、耐える、反撃、練習の5つを順に押さえることがコツです。

真後ろへ下がらず、背中が触れたら横へ動き、無理なら固めて待ち、打ち終わりを狙います。追い込まれることは失敗ではなく、練習で対処を覚えられる場面です。

まずは次の練習で、ロープ際スタートのスパーリングを1ラウンドだけ試してみてください。苦手意識は、少しずつ自信に変わっていきます。

焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう!

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Kick Times 編集長。 プロムエタイ選手として日本とタイで試合を重ね、現在は格闘技のトレーナーをしながら業界初の格闘技コンサルタントとして活躍中。 NO KICK NO LIFEやLumpineeBoxingStadium of Japan認定レフリーとしても活躍。 女性の為のキックボクシングプログラム・Beauty Kick Projectディレクター。 特技はWEB制作で、趣味はカフェ巡り。

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