キックボクシングの試合戦略の立て方!中級者が勝つための5ステップ

文:NOMI

キックボクシングの試合戦略の立て方!中級者が勝つための5ステップ

このページの総論

・戦略とは、試合前に「勝てる形」を言葉にしておくこと

・出発点はジャッジの採点基準。そこから逆算して作戦を考える

・自分の武器の整理、相手の分析、プランA・Bの用意が基本の流れ

・作戦はスパーリングで繰り返し試して、体に覚えさせる

まえがき

こんにちは!Kick Timesキュレーターの能見です。

基本技はひと通り身についてきて、スパーリングも形になってきた。試合も決まった。でも「試合で何をすればいいのか」がぼんやりしている。中級者の方から、こうした悩みをよく聞きます。

練習を頑張っているのに、試合になると気持ちだけで打ち合ってしまい、持ち味が出せずに終わる。もったいないパターンです。

この記事では、試合の戦略を「何から考えて、どう形にしていくか」の順番でお話しします。難しい理論ではなく、今日からノートに書き出せる内容にしました。

戦略の出発点は「採点基準」を知ること

戦略を立てる前に、まず「何をすれば勝ちになるのか」を知っておきましょう。KOを狙うにしても、判定になった場合の備えは必要です。

例えば全日本学生キックボクシング連盟の競技規則では、採点は次の順で評価されると定められています。

・相手から奪ったダウンの数

・有効打で相手に与えたダメージの度合い

・防御されずにクリーンヒットした数

・アグレッシブさ(攻めの積極性)

そして採点はラウンドごとに行う「10ポイントマストシステム」です。これは、そのラウンドで優勢だった選手に必ず10点をつける方式のことです。

団体やルールによって細かい点は違います。出場する大会のルールブックは、必ず事前に確認してください。

ここで押さえたいのは、手数が多いだけ、前に出ているだけでは勝てないという点です。相手に効いたと分かる攻撃、しっかり当たった攻撃を、どれだけ積み重ねられるかが大事です。

つまり戦略とは、「ダメージとクリーンヒットを取るための道筋を作ること」と言い換えられます。

自分の武器と弱点を書き出す

次に、自分自身の棚卸しをします。ノートに書き出すのがおすすめです。

書くのは、次の3つです。

・試合で一番当てやすい技(得意な攻撃)

・疲れても出せる技や動き

・スパーリングでよく食らう攻撃(弱点)

ポイントは、得意技を「一つに絞る」ことです。あれもこれも使おうとすると、試合の緊張の中では出なくなります。ジムで指導していても、試合で出せるのは、練習で体に染み込んだ数少ない技だと感じます。

僕自身はサウスポーで左ミドルが得意ですが、そこから「ミドルを当てるために、どんな攻撃や距離で相手を誘うか」を組み立てていくイメージです。得意技が決まると、その前後のつなぎ(ジャブ、フェイント、ステップ)も決まってきます。

弱点についても同じです。苦手な攻撃から逃げるのではなく、「もらったらこう対処する」と決めておくだけで、試合中に慌てにくくなります。

相手を分析してプランA・Bを作る

自分の整理ができたら、相手の情報を集めます。試合映像が見られるなら、必ず見ましょう。映像がない場合は、ジムの仲間やトレーナーから聞いた情報でも構いません。

見るポイントは次のとおりです。

・構え(オーソドックスかサウスポーか)

・得意な攻撃とクセ(パンチ中心か、蹴り中心か)

・ガードの癖や、反応が遅れる場面

・後半に動きが落ちるタイプか

構えの違いは特に重要です。サウスポーとオーソドックスが向かい合うと、お互いの前足の位置関係が変わり、距離感や当たる攻撃も変わります。いつもの練習相手と同じ感覚で動かないよう、意識しておきましょう。

分析が終わったら、プランAとプランBを作ります。プランAは「思いどおり進んだ場合の作戦」、プランBは「うまくいかない場合の切り替え」です。

例えば、Aは「蹴りで距離を作り、相手が嫌がったらパンチにつなぐ」、Bは「蹴りを読まれたら、パンチ中心に切り替える」といった形です。あらかじめ決めておけば、セコンドのアドバイスも活きてきます。

なお、情報はあくまで予想です。決めつけすぎず、試合が始まったら目の前の相手を最優先で見てください。

ラウンドごとの目標を決める

作戦が決まったら、ラウンドごとの「小さな目標」を設定しましょう。試合を一つの塊で考えると、頭の中が整理できません。

例えば、次のような区切り方です。

・序盤:相手の距離とリズムを探り、自分の攻撃を少し当てる

・中盤:得意技を軸に、ポイントを取りにいく

・終盤:流れを見て、攻めるか守り切るかを判断する

ここで大切なのは、ラウンドが終わったときに「今のラウンドは取れたか?」と自分で振り返る習慣です。10ポイントマストシステムは、ラウンドごとに優劣を決めます。ですから自分でもラウンド単位で考えるのが理にかなっています。

インターバルの1分間は短いので、セコンドに聞きたいことも事前に決めておくとよいでしょう。「どちらが取っているか」「何を変えるべきか」の2つだけでも十分です。

試合の途中でスタミナ配分が崩れる人も多いです。序盤に全力を出しすぎないよう、「どこで力を使うか」まで考えておくと安定します。

戦略をスパーリングで形にする

戦略はノートに書いただけでは意味がありません。試合に近い環境で、実際に試してこそ使えるものになります。

スパーリングでは、「今日はこの作戦だけを試す」とテーマを決めましょう。例えば「得意技を当てるまでの流れを3回試す」「プランBに切り替える練習をする」といった具合です。勝ち負けより、作戦を実行できたかを確認します。

ミット打ちも有効です。得意技につなげるコンビネーションを、試合のイメージで繰り返しましょう。

そして、仕上げの時期は新しい技を増やさず、決めた作戦の精度を上げることに集中するのが基本です。直前に新しいことを詰め込むと、かえって迷いが出ます。

なお、練習中や試合後に痛みや違和感があれば、無理をせず専門医に相談してください。万全の状態で試合に臨むことも、立派な戦略の一部です。

あとがき

試合の戦略は、次の流れで考えるとスッキリ整理できます。

・採点基準を知り、勝ちの形を理解する

・自分の武器と弱点を書き出す

・相手を分析し、プランA・Bを用意する

・ラウンドごとの目標を決める

・スパーリングで作戦を体に覚えさせる

戦略があると、試合前の不安が「やるべきこと」に変わります。もちろん、試合は思いどおりにならないことの連続です。それでも、準備してきた人は立て直しが早いものです。

まずは今日、ノートを開いて「自分の一番の武器」を書き出すところから始めてみてください。あなたの試合が、納得のいく一戦になることを応援しています!

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Kick Times 編集長。 プロムエタイ選手として日本とタイで試合を重ね、現在は格闘技のトレーナーをしながら業界初の格闘技コンサルタントとして活躍中。 NO KICK NO LIFEやLumpineeBoxingStadium of Japan認定レフリーとしても活躍。 女性の為のキックボクシングプログラム・Beauty Kick Projectディレクター。 特技はWEB制作で、趣味はカフェ巡り。

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