ダメージ後の休養と練習再開はいつから?上級者が迷わない判断の軸と手順

文:NOMI

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ダメージ後の休養と練習再開はいつから?上級者が迷わない判断の軸と手順

このページの総論

・ダメージは「頭」「体(スネ・関節)」「疲労」に切り分けて考えます

・頭を打った後は、気分ではなく「症状がないこと」を条件に段階的に戻します

・再開はシャドー、ミット、対人の順。症状が出たら一歩戻ります

・強い症状や長引く不調は、自己判断せず専門医へ相談してください

まえがき

こんにちは!Kick Timesキュレーターの能見です。

試合やハードなスパーのあと、「体は動くけれど、何か違う」と感じたことはありませんか。

上級者ほど、早く戻りたい気持ちが強いものです。休むと置いていかれる気がして、焦る方も多いと思います。

この記事では、ダメージ後の休養と練習再開の判断を、頭・体・疲労の3つに分けて整理します。再開の手順やジムへの伝え方もお話しします。

なお、私は医師ではありません。ここでお伝えするのは一般的な考え方です。症状があるときは、必ず医療機関で診てもらってください。

まず「どのダメージか」を切り分けましょう

「ダメージ」とひとことで言っても、中身は別物です。休む期間も、再開の基準も変わります。

私は次の3つに分けて考えています。

・頭へのダメージ(ダウン、強い被弾、意識が飛んだ感覚など)

・体へのダメージ(スネの打撲、太ももの内出血、関節の違和感など)

・疲労の蓄積(減量後、試合前の追い込み後、朝から体が重い状態など)

この中で、いちばん慎重に扱うべきなのは頭です。理由は、自分では状態を判断しにくいからです。

逆に、スネや太ももは痛みが分かりやすいぶん、練習内容を調整しながら動ける場合もあります。

まず「どれが原因か」を言葉にするだけで、再開の判断はぐっと楽になります。

頭のダメージは「症状がない」ことが再開の条件

頭部外傷について、日本臨床スポーツ医学会の「10か条の提言」には、次のような考え方が並んでいます。意識を失わなくても脳振盪であり、脳振盪後すぐにプレーへ戻ってはいけないというものです。

「記憶はあるし、すぐ立てたから大丈夫」という判断は危ういということです。

脳振盪で多い症状として、頭痛、めまい、集中力低下、もやもや感、吐き気などが挙げられています。

また、吐き気や嘔吐、めまい、しびれ、強い頭痛がある場合は、救急や脳神経外科などの受診が必要とされています。意識の障害があるときは、救急車を呼ぶ場面です。

頭を打った当日は練習に戻らない。症状があるなら、まず受診。これは上級者でも例外にしないでください。

復帰の進め方は、他競技のガイドラインが参考になります。たとえばサッカー協会の指針では、段階的なプログラムを組み、各ステージに最低1日をかけます。症状が出たら24時間休み、症状のなかった段階から再開するとされています。

ラグビーでは、条件を満たす場合は最短14日、それ以外は最低21日後の復帰という運用が示されています。競技が違えば基準も違いますが、「いきなり対人に戻らない」という考え方は共通です。

なお、受傷後2〜4週間たっても症状が改善しない場合は、脳震盪や頭部外傷に詳しい医療機関へ相談するよう案内されています。

試合の出場停止と「練習再開」は別の話です

ここで、よくある混同を整理しておきます。

試合に出られない期間と、練習を再開してよい時期は、別のものです。

たとえばプロボクシングでは、KO負け後の出場禁止期間が90日です。CT検査を受ければ60日に短縮される特例は、廃止が決まったと報じられています。

キックボクシングは団体ごとにルールが異なります。出場の可否は、所属団体の規定を必ず確認してください。

そして、期間が過ぎたから頭のダメージが抜けた、とは限りません。規定は「出られる最短」であって、「治った保証」ではないのです。

ジムで指導していると、期間が明けた途端にスパーを再開したがる選手をよく見かけます。その気持ちは分かります。でも、まず日常生活で症状がないか、そして軽い運動で症状が出ないかを見てあげてください。

体のダメージは「痛みの出ない範囲」で調整します

スネ、太もも、肘などの打撲やダメージは、頭より判断しやすいです。それでも、無理は禁物です。

私が使う目安は、次の順番です。

・歩く、階段を上り下りするなど日常動作で痛みがない

・軽く触ったり、軽い負荷をかけたりしても痛みが強く出ない

・シャドーや軽いミットで、痛みや違和感が増えない

この3つが通ってから、蹴りの強度を戻します。

痛み止めで感覚をごまかして練習するのは、おすすめしません。痛みは体からの情報です。

また、痛みが強い、腫れや熱感が引かない、見た目に変形があるといった場合は、専門医に診てもらってください。骨や関節の問題は、練習を続けながらでは判断できません。

私の得意技は左ミドルですが、蹴る側のスネが傷んでいるときは、まず蹴りを減らします。その間はパンチ、ステップ、体幹、下半身の補強を中心に組みます。

休むのは「悪いところ」だけにして、動かせるところは動かす。これなら、焦りも落ち着きます。ただし、頭のダメージが疑われるときは当てはまりません。

疲れが抜けないのも「ダメージ」のサインです

打たれていなくても、減量や追い込みでダメージが溜まることがあります。

一般的に、通常の疲労は2〜3日の休養で回復します。しっかり休んでも戻らず、朝から体が重い状態が続くのが境目とされています。

早期発見の目安として、起床時の心拍数が1分間に10拍以上増えていると、オーバートレーニング症候群の疑いとされています。ほかにも、意欲の低下、寝つきの悪さ、イライラなども挙げられています。

ここは診断の領域です。気になる場合は、スポーツ内科などで相談してください。

おすすめは、朝起きたら脈を1分測ってメモしておくことです。普段の数字が分かると、変化に気づけます。手首で測るのが面倒なら、心拍計付きの時計も便利です。

数字が普段と違う日は、強度を落とすか休む。練習日誌に、睡眠と体調の点数も添えておくと、判断に迷いません。

再開は段階的に。ジムへの伝え方も大事です

では、実際の再開手順です。ここからは、先ほどの他競技の考え方を、キックボクシング向けに置き換えた私の目安です。団体の規定や医師の指示が最優先です。

・①歩く、軽い有酸素運動(息が上がりすぎない程度)

・②シャドー(頭を強く揺らす動きや、激しい回転は控えめに)

・③軽めのミット、サンドバッグ

・④ノーコンタクトに近いマスボクシング

・⑤ライトスパー(相手と強度を事前に決める)

各段階は、最低でも1日あけて、翌日に症状が出ないかを確かめます。頭痛やめまいが出たら、前の段階に戻って、休んでからやり直してください。

再開前のチェックも挙げておきます。

・安静時に頭痛、めまい、吐き気がない

・集中力や睡眠が普段どおり

・日常生活で支障がない

・医師に相談した場合は、その指示を守れている

そして、ジムの仲間やトレーナーには正直に伝えてください。ダウンした、意識が飛んだ、打たれた後から違和感がある、と共有することが大切です。

脳振盪については、1回目の軽い頭部外傷のあと、短期間のうちに2回目を受けて重い状態になる例が知られています。再開直後のスパー相手は、強度を調整できる人を選んでください。

「今日は当てなくていい」と言える環境づくりも、上級者の仕事です。

あとがき

ダメージ後の休養と練習再開は、頭、体、疲労の3つに切り分けて考えるのが出発点です。

頭のダメージは、症状がないことを条件に、段階的に戻ります。体の痛みは、痛みの出ない範囲で調整します。疲れが抜けないときは、数字と睡眠で客観的に見ましょう。

どれも「少し遅いかな」と思うくらいで、ちょうどよいです。長く続けるほうが、結局は強くなれます。

不安があるときは、専門医に相談してください。しっかり回復して、また最高の状態でリングに戻りましょう。応援しています!

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Kick Times 編集長。 プロムエタイ選手として日本とタイで試合を重ね、現在は格闘技のトレーナーをしながら業界初の格闘技コンサルタントとして活躍中。 NO KICK NO LIFEやLumpineeBoxingStadium of Japan認定レフリーとしても活躍。 女性の為のキックボクシングプログラム・Beauty Kick Projectディレクター。 特技はWEB制作で、趣味はカフェ巡り。

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